企業の生産停止広がる=ホンダも全工場で

東日本大震災の影響が、企業の生産面に広がってきた。ホンダは14日、国内の全工場を対象に20日まで操業を停止すると発表。東京電力の計画停電を受け、被災地以外の工場も生産調整を余儀なくされており、生産活動の停滞が深刻化してきた。
 
ホンダの措置により、自動車大手3社の国内生産がストップする。同社は先週末の震災を受け、本州の工場は14日から操業を停止したが、熊本製作所(熊本県大津町)の生産も断念する。物流網の分断から部品の調達が滞っているためだ。トヨタ自動車も同日から国内全工場の生産を停止、16日まで再開を見合わせる。日産自動車も被災地の工場は18日まで、マツダは本社工場(広島県府中町)など2工場を16日まで止める。
 
自動車関連では、住友ゴム工業の福島県にある国内最大級のタイヤ工場の操業が止まったまま。自動車は完成車メーカーを頂点に、部品や販売、整備など周辺産業の裾野が広い。経済波及効果も大きく、生産停滞が長引けば、景気回復の足を引っ張りそうだ。
 
また、東京電力が14日夕から計画停電を開始。NECは節電に協力するため、相模原事業場(相模原市)などを臨時休業した。同事業場では電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の電極を生産しており、EV生産にも波及しそうだ。
 
このほか、東芝が薄型テレビを生産する熊谷工場(埼玉県熊谷市)など3工場を休業、新日本製鉄も東京製造所(板橋区)の鋼管生産を一時休止、電力使用の抑制に努めた。
 
一方、被災地では生産設備の復旧の遅れが目立つ。ニコンは宮城県と栃木県の4工場で操業を停止したが、「電気などライフラインが遮断され、再開のめどが立たない」という。旭硝子の鹿島工場(茨城県神栖市)も設備が損傷、復旧に約1カ月かかる見込み。 

編集後記
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東北の被災現場では「水」と「暖」を必要としている=国境なき医師団

「国境なき医師団」の日本会長である黒崎伸子医師(小児外科)は3月14日、宮城県を視察してきた結果を報告する記者会見を開催し、「現場では水と暖を必要としている」と現地の様子を伝えた。同医師団は、3月11日に発生した東日本大震災に調査団を派遣し、現地の調査を実施するとともに医療活動をサポートしている。黒崎医師は現地から一時的に戻ってきた機会に、現地の状況を報告した。医師団の2つのチームが宮城県にヘリで入ったのは、震災発生翌日の12日。黒崎氏は、仙台市若林区に入って避難場所で一夜を過ごしたあとで、仙台市南部を調査して14日に東京に戻った。

国境なき医師団は12日午後、東京・木場のヘリポートからスタッフ6人(医師3人、ロジスティシャン2人、看護師1人)が宮城県に向け出発。仙台市から北を調査するチームと南を調査するチームに2手に分かれて活動。13日にも、さらに4人(医師3人、ロジスティシャン1人)が現地に入った。

黒崎医師は、スリランカ(3回)、ナイジェリア、リベリア、インドネシア(2回)、ヨルダン、ソマリアなどで活動した経験がある。今回の宮城県を視察した率直な感想を「地震と言うよりも、大洪水による甚大な被害現場の特徴が現れている。倒壊した家屋の下敷きになって被害者が出るというよりも、洪水で流された被害者が多い。

未だに孤立した被災者が多数に上るというのも洪水被害の特徴といえる」とした。インドネシアの大洪水の被災地を訪ねた経験と比較して、携帯電話が行き渡っているにも係わらず通信手段がなかなか普及しない情報インフラの弱点を指摘する他、「都市化が進んだ日本では、たとえば、持病のために13種類もの薬を日常的に服用しているお年寄りに、どのようなレベルまで薬を処方すれば良いのか、被災時における明確な指針がない。
同じものを全て13種類渡せばよいのか、当面をしのげる程度の数種類の薬だけにするのか」など、途上国とは異なる患者対応が求められているという。

また、被災から2日間を経て、ようやく地元の医師会の機能が復し始めて、医療関係者の間の連携ができつつあるという。地元にはD−MATが90チームほど入って活動を行い、赤十字の医療支援活動も始まっていることを確認している。

現地を視察して、黒崎医師が感じたのは、「水と暖房の不足」。
水については、飲料水はもとより、「たとえば、トイレを流す水がないので、水を飲むことを我慢して、それによって持病を悪化させるということが起きている。
また、暖房については、燃料の減少を心配してストーブは可能な限り短時間しか使っていない。夜はストーブなどの暖房器具を使わないので、未だに夜明け前は氷点下になるような気候で、被災者の方々にダメージになっている」という。

そして、医療備品の中では、「人工透析用の生理食塩水や酸素が不足している」と。仙台市内では、輸血用の血液も医薬品等についても、特に不足しているものは、14日現在ではないようだと語った。

「テレビの放送では、もっとも被害の大きかった海沿いの一部地域の映像が繰り返し流されるので、東北地方は機能停止に陥ってしまっているかのように見えてしまうが、実際に現地に入ると、車に乗って子供の紙おむつを求めて走り回る父親がいたり、親しげに語りある恋人たちがいたり、当たり前の日常生活の場面が残っている。
避難している人たちが50万人と報道されるほどに、広い範囲で大勢の人たちが被災した大きな災害なので、事態が落ち着くまでには長い時間が必要になる。現地からの声をしっかり聞いて、地元が必要とされている支援がスムーズに提供できるような仕組みづくりが必要だ」とした。

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日本の災害でハイテク部品不足の恐れ-部品価格の急騰も

今回の巨大地震・津波で日本での送電網や生産ライン、供給網が混乱状態に陥ったことから、世界のハイテク製品製造業界は今後数週間、部品の値上がりや品不足に直面する公算が大きい。

メモリーチップ液晶ディスプレー(LCD)などの部品はスマートフォンやテレビなどさまざまな民生用電子機器に使われており、日本からの供給が不足すれば、電子機器メーカーが混乱する可能性がある。

ソニーパナソニック富士通などのハイテク製品メーカーはここ数日間に被害状況の確認を進め、数週間は続くとみられる大規模停電に備えて複数の工場の閉鎖を発表した。

日本にはエルピーダメモリ東芝といったメモリーチップメーカーがある。東芝はサムスン電子に次ぐ世界第2位のフラッシュメモリーメーカーだ。日本はまた、ガラスや発光ダイオード(LED)など液晶パネル、同関連製品の部品で大きなシェアを持っている。

東芝は米アップルの「iPhone(アイフォーン)」と「iPad(アイパッド)」に使われているNANDフラッシュメモリーの重要なサプライヤーだ。今年のNANDフラッシュメモリーの市場は、多くの世界企業がアイパッドに対抗するためのタブレットを発売していることから、勢いが付いている。

アジア最大のチップ・スポット市場であるDRAMエクスチェンジによると、通常スマートフォンやタブレットでデータを保存するために使用されている32ギガビットNANDチップの価格は14日のアジア市場で17.7%も上昇した。

調査会社IHSアイサプライは「サプライヤーは原材料の入手と製品出荷が困難になる公算が大きい。これによって日本からの半導体供給が今後2週間、混乱する可能性が高い」としている。

アナリストは、不透明な供給見通しが続くため、メモリーチップやその他の部品の価格は短期的にさらに上昇し、世界の民生用電子機器メーカーにとってコストが押し上げられることになると見ている。半導体業界調査会社オブジェクティブ・アナリシスのジム・ハンディー氏は「この地震の結果、驚くほどの値上がりと目先の品不足が起こるだろう」とし、「日本では世界のNANDの40%強が生産されている。大幅な生産減少がなくても劇的な価格上昇が起きる」と述べた。

アイサプライによれば、日本に本社を置く企業の半導体チップの売上高は2010年に633億ドル(5兆2000億円)となり、世界全体の21%を占めた。

東芝は先週末、岩手県の半導体工場が操業を停止したと発表したが、14日には、この工場は大きな被害を受けていないことを明らかにした。ただ、生産再開がいつになるかは分からないとしている。エルピーダは14日、広島県の工場では、半導体生産に使われるシリコンウエハー生産は打撃を受けていないと発表した。

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東日本大震災、自動車メーカー復興支援広がる

3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震について、各自動車メーカーは次々と復興支援を表明している。

3月14日現在、多数の自動車メーカーが復興に向けての支援を表明している。トヨタは被災者及び被災地に対し、3億円の義援金を贈る事を表明し、地域の状況・ニーズを確認した上で、必要な現物・サービスの支援も検討することも加えた。

日産は被災地への初動支援として、NGOジャパン・プラットフォームに対し3000万円の寄付を行う事を決めている。
さらに、今後の被災状況を見ながら、追加支援も検討していくとした。

ホンダは義援金として3億円の寄付に加え、ガソリン発電機・家庭用カセットガスを使用する発電機を合計1000台、及びカセットガスボンベ5000本を提供することを発表(発電機の操作説明の要員の派遣も行う)した。

マツダは、当面の対応として3000万円の義援金を贈ることを表明、また被災地域の状況や要望を確認した上で、今後も必要な物資の提供や人的支援などを行うことも付け加えている。

いすゞは、5000万円の義援金を拠出する方向で対応するとし、また現地ニーズを確認した上で、必要な物資・サービスなどの提供を検討することも併せて発表した。

自動車メーカー各社は、部品供給の遅れなどから国内工場の操業停止が続いてはいるが、復興支援に対しては今後も続々と広がっていくと見られる。

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パナソニック、乾電池を増産=国内工場で稼働延長

東日本大震災の影響で、懐中電灯などに使う乾電池が不足していることを受け、パナソニックは15日、乾電池を増産する方針を決めた。詳細は今後詰めるが、今月中にも国内工場で増産態勢に入る。
 
大阪府守口市の工場で勤務シフトを変更し、稼働時間を増やして生産を増強する。また、インドネシアやタイ、中国などの電池工場からの輸入も増やして対応する方針だ。同社は、国内のアルカリ乾電池流通量で約45%のシェアを占めるトップメーカー。 

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医療用機材・資材不足解消のため、各メーカー工場再開に奔走

震災直後より厚労省は、医療機関などに対する医薬品や医療機器などの供給や流通に支障がでないよう万全の処置を、日本製薬団体連合会、日本医薬品卸業連合会、日本医療機器産業連合会など関係5団体に要請していたが、被災地への医療品供給不足が深刻さを増している。

現在、不足している機材、資材は医療用酸素、血液透析用の生理食塩水、滅菌精製水、透析水、人工呼吸機を動かす為のポータブル発電機、自家発電の燃料となるA重油と言われている。

厚労省の発表によると、13日時点で必要な血液製剤は供給されているという。ただ、東北地方の一部地域では赤血球製剤の在庫が目減りしているため、全国各地でバックアップ体制を取り、搬送経路を確保して供給不足に陥らないよう対応している。

被災地にある一部献血センターでも13日までに献血を再開。さらに全国の献血量を増やすための措置として、北海道、福岡、熊本などに臨時の献血センターを開設した。また、医薬品や医療機器の供給状況も調査している。13日時点で宮城県から破傷風ワクチンと輸液製剤の補給要請があり、卸と調整中。また在宅医療用ガスについても補給要請もあり、メーカーに確認しているという。

また医政局経済課では、医薬品・医療機器企業や卸の被災状況も調べている。東北地方のいくつかの工場で停電が発生し、医薬品や医療機器を出荷できない状態になっている。まだ被災地の全容は把握できていないものの、津波や天井の崩落で物流センターが使用不能になっているところもあるという。

そのような中、オリンパスは14日、同社グループにおける東北地方太平洋沖地震の被災状況を発表した。若干名の軽傷者が発生したことに加え、該当地域のグループ企業が操業を停止している。いずれも医療用内視鏡製品・システムなどが主要事業であるという。白河オリンパスは停電と建物の一部被害により操業を停止。オリンパスメディカルシステムズ白河事業場でも建物の一部被害で操業を停止しているという。 また、青森オリンパスでは一部材料の調達に支障が出たため、いったん操業を停止している。 オリンパス仙台営業所に大きな被害はないため、現在、営業再開の準備を進めているという。

また、ニプロはダイアライザー(FBシリーズ、PESシリーズ)を生産している愛知県のニプロ大館工場においては、地震による生産設備の被害はなく、東北地方停電により製造は中断していたが13日午後より生産ライン電力回復致し、設備点検、調整後、3月16日より生産再開出来る見込みとなっている。また、透析用ヘパリン製剤、透析用補液「サブパック」を製造しているニプロファーマ大館工場も停電により製造中断していたが、製造設備に被害は無く、13日午後より電力を回復。設備点検、調整後、生産再開出来る見込みとなっている。さらにリンパック製造担当しているニプロファーマ伊勢工場は地震の影響はなく、血液回路及びAVFニードルは海外タイ工場にて生産しており、影響はないとしている。

商品在庫倉庫についても被害はなく、当面の在庫数は各倉庫にて十分確保している。北海道および関東地区以西につきましては、同社メイン倉庫の大阪の舞洲倉庫を始め、北海道の石狩、群馬の館林物流、栃木の古河医薬品倉庫、埼玉の所沢物流、愛知の小牧、岡山の倉敷、福岡の見上の各倉庫から14日より出荷可能状態となっているという。

津波による陸路搬送が困難な上、医療メーカーの東北工場も停止していることから、被災地への供給が滞りを見せている。また、被災地以外でも、医療用機材・資材の不足があっては決してならない。人命をつなぐための絶対的な物資を集めるためにメーカーは奔走しなくてはならない。

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東証“大暴落”1万円割れ 東電はストップ安

週明け14日の株式市場は東日本大震災の影響で幅広い銘柄が売られ、日経平均株価は約3カ月半ぶりに1万円を割り込み、前週末の終値に比べて633円94銭安の9620円49銭で取引を終えた。原発事故に見舞われた東京電力はこの日午前、売り注文が殺到して値がつかず、気配値は500円ストップ安の1621円まで下落した。

管内の原発が運転停止した東北電力や、路線網が破損したJR東日本、製油所のガスタンクが爆発したコスモ石油の株式も急落。東北地方の地銀や、多額の保険金支払いを迫られる可能性がある保険会社の株式も売られ、日経平均は一時645円安の9609円まで下落した。

一方、建設、道路関連株は軒並み高となった。

編集後記
外交では拉致問題、対中国、イラク情勢…、国内にあっては政治、治安の混乱のみならず、企業不祥事、BSEなどのバイオ対策…。我が国が直面する問題は、ますます複雑化し、緊急な対応が迫られている。こうした困難に、いかに対処していくべきか?危機管理の第一人者が、豊かな経験を踏まえ具体的に方策を説き起こす。

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ガソリン以外も…品切れパニック!電池も非常食も“蒸発”

首都圏から電池、懐中電灯が姿を消している。「計画停電」に備えて量販店では懐中電灯などが消え、スーパーやコンビニではパンやカップラーメンの棚が空っぽ。不気味な「品切れパニック」が起こっている。

週末の横浜市郊外のガソリンスタンド周辺では、給油を待つ自動車の列が数百メートルも続いた。製油所の火災や東北への供給優先などの事情で首都圏への供給が減少するとの見方が報じられ、満タンにしておこうという心理が働いた。13日夕方までには大半のスタンドの看板には手書きの「売り切れ」の紙が貼られた。

神奈川県内の家電量販店やホームセンターからは懐中電灯と単1、単2の乾電池、簡易コンロが姿を消した。11日午後から夜にかけて停電した世帯が多く、今後も計画停電が実施されるとあって需要が急増。何軒も店を回る人も多く、「いつ入荷するか分かりません」。店員のつれない返事に来店客は肩を落としていた。

都心のスーパーの店頭も異様な光景が続く。食パンなどは「地震の影響で欠品中」と掲示があり、1つもない。カップ麺も「非常食」として5〜6個買い占める人が続出し、あっという間に売り切れた。一部のマンションでは11日夜、断水も起きたため、2リットルのペットボトルの水やお茶も根こそぎなくなっていた。

「入荷量が減っているのに、大量に買われる方が多いので商品を並べても“蒸発”してしまう。しばらくこの状態が続くかもしれませんね」とスーパー店員は険しい顔をしていた。

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被災企業支援を本格化=低利融資など―銀行各行

銀行各行は14日から、東日本大震災で被災した中小企業向けの支援を本格化させる。三菱東京UFJ銀行などの大手行は、通常の貸し出しよりも低金利で融資に応じる。また、大震災の影響で企業が手形決済できなかった場合、「不渡り」として取り扱わないなどの対応を行う見通しだ。

三菱東京UFJ銀、みずほ銀行、住友信託銀行は3000万円、三井住友銀行は2000万円を上限に低利貸し出しを始める。貸出期間はいずれも最長5年。

企業は通常、資金決済に使う手形について半年間に2回決済できないと、倒産状態と見なされてしまう。このため全国銀行協会は12日、大震災で被災した企業が振り出した手形が支払期日を過ぎて決済されていなくても、不渡り扱いしないよう銀行各行に要請。各行はこれに応じる。

一方、東北に店舗を持つ地銀、大手行、ゆうちょ銀行などは13日、一部店舗で臨時営業を行い、預金者が印鑑、キャッシュカードや通帳を紛失していても、本人確認をした上で被災者への預貯金払い戻しに応じた。また、大手各行は14日から被災者向けに貸出金利を年1.5%程度優遇した住宅ローンなどを提供し、生活復旧を支援する。

現金自動預払機(ATM)については、JAバンクが13日、東北6県に配置している1550台のうち、692台が停止していると発表。セブン銀行は同日夕の時点で、約800台が停止している。ゆうちょ銀行は459台が使用不能。 

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経済 経済総合市況株式産業..保険支払いで圧し掛かる国債換金リスク、内包する金利上昇の火種

超長期国債と呼ばれる20年物や30年物の価格急落は、生命保険会社や損害保険会社の換金売りに対する警戒感が強まっていることを浮き彫りにした。市場は震災関連の補正編成を静観する構えだが、金融政策の手が及ばないゾーンだけに需給不安が広がりやすい。長短金利差の広がりが無用な財政プレミアムを突き付ける可能性もある。

14日の東京債券市場は、東京証券取引所の長期国債先物が一時、前週末終値より1円09銭高い140円29銭に上昇し、1月14日以来2カ月ぶりの高水準で取引された。

東日本大震災の影響で行き場を失った逃避マネーは、より安全な中短期債の買いを膨らませた。

日本相互証券によると、2年物国債は一時、昨年11月22日以来となる0.160%に急低下(価格は上昇)。5年物は0.460%と、1月14日以来の低水準で取引される場面があった。

日銀の追加金融緩和を見越した動きも中短期金利を押し下げたという。日銀は14日の金融政策決定会合で、昨年10月に創設した基金による資産買い入れ規模を、現行の5兆円から10兆円程度に拡大することを決めた。

市場には「銀行勢による『先回り的な買い』が膨らんでいた」(欧州系証券)との指摘がある。

対照的だったのは超長期債の動きだ。この日の取引では、20年物が一時前週末より0.06%ポイント高い2.080%となり、昨年12月16日以来の水準に急上昇(反対に価格は下落)。一方、30年物は0.07%ポイント高い2.210%に跳ね上がった。

市場では「リクイデーションが意識され、生損保からの換金売りの思惑が相場を不安定にさせている」(在京の英系金融機関)との声が多い。

超長期債相場が下落する場面では機関投資家の買いが入ったとされる。「(相場下落は)入札に備えたポジショントークが主導したのではないか」(邦銀)との声もあるが、換金売りへの警戒感は絶えない。

震災関連の財政支出をめぐっては、11年度補正予算において震災関連経費や防災関連経費が計上される見通しだが、予備費での対応や子ども手当ての上乗せ分が削減されれば、国債増発額は抑制される公算が大きい。

財政実務に詳しい野村証券の西川昌宏氏は「かりに国債増発となっても『前倒し分』を使用出来るため、増発額がそのままカレンダーベースの市中消化額の増加につながるとは限らない」と指摘する。

だが、需給主導で超長期債利回りが上昇したまま放置され、いざ財政不安がクローズアップされれば「巡りめぐってムダな財政プレミアムが求められかねない」(大手銀行)。日銀が追加緩和に踏み切ったことで中短期金利の低下は必至だが、長短金利差の拡大はあらたなリスクを内包している。

編集後記
鹿島龍蔵と関東大震災
或る東京人が見た廃墟の実態と復興の原点。田端文士村を生んだ実業家・鹿島龍蔵は、芥川龍之介も尊敬する多才の文化人だった。その日記は、大正12年9月1日から10日間の克明なドキュメントである。素養あふれる原文を読み解き、大震災の真相とその時代に地震学者が迫る。

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