東日本大震災:清酒の水、命つなぐ 結城の「武勇」、筑西の病院に無償提供 /茨城

人工透析患者40人分、仕込み10トン
結城市の老舗の酒造会社「武勇」が東日本大震災直後、断水で人工透析治療中の患者に使う水確保に困っていた下館胃腸科医院(筑西市二木成)に対し、清酒の仕込み水10トンを無償提供、外来の人工透析患者約40人分の命をつないでいたことが分かった。95年の阪神大震災で、灘の酒蔵が人工透析の水を提供したことを覚えていた武勇の保坂大二郎専務が、病院の依頼を受け「患者の命にかかわる問題で清酒の水が役に立つなら」と快く引き受けた。
 
人工透析は腎不全に陥った患者が尿毒症になるのを防ぐため血液の老廃物を除去するプロセスで、週3回、1回約4時間の治療が望ましい。同院によると、1回の人工透析で患者1人あたり約210リットルの水が必要で、1日約80人の外来透析患者を治療するためには、病院の受水槽(約18トン)を常にほぼ満タンの状態にしておかなければならないという。
 
武勇は震災で、酒蔵の屋根瓦が半分落下する被害を受けたが、幸い清酒を造るタンクは無事だった。酒蔵内にいた保坂専務は、大揺れとともにガラガラと瓦が落ちる音を聞き、上を見上げると青空が見え被害の大きさを知ったという。
 
3月12日夜、知人を通じて病院から水提供の協力要請を受けた保坂専務は、清酒の仕込み水用の井戸水約10トンをくみ上げ、6トンタンク2本に移した。問題は水の運搬手段だったが、知り合いの運送業者がガソリンをかき集めて大型トラックを手配し、16日に無償で同院へ届けた。
 
同院では、患者への人工透析時間を1回4時間から3時間に短縮し、水が多くの患者に行き渡るように工夫した。武勇のほか、筑西市からも給水を受け、断水が解除される22日までつないだという。
 
武勇や運送業者の協力に対し久野宗寛院長は「綱渡りの治療が続いたが、多くの人たちに支えられ、透析を続けることができた」と振り返り、「患者さんの命がかかっているので本当に甘えさせてもらった。忘れ掛けていた国民の優しさ、思いやりを感じた」と感謝している。

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仙台銀、公的資金申請へ…大震災影響で初めて

宮城県を営業の地盤とする第二地方銀行の仙台銀行(仙台市青葉区)は11日、金融機能強化法に基づき、公的資金の注入を政府に申請する検討に入ったと発表した。

東日本大震災で被災した企業の支援に向け財務基盤を強化するためで、今回の大震災の影響で金融機関が公的資金を申請するのは初めてとなる。

申請額や時期は、大震災の影響を見極めて決める。株主総会で優先株発行の定款変更を行ったうえで、優先株を政府に引き受けてもらい、公的資金の注入を受ける考えだ。

また、仙台銀は同日、10月に予定していた、同じ第二地銀のきらやか銀行(山形市)との経営統合を延期すると発表した。同日の両行の取締役会で決定した。「地域経済の復興支援を最優先するため」としている。統合時期は2012年度の早い時期を目指すとしている。

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会津の牛乳、出荷再開…酪農家ほっとした表情

東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故で、出荷できない状態になっていた福島県会津地方の加工前牛乳の出荷が11日朝、再開された。


酪農家は「ようやく消費者のもとに届けられる」とほっとした表情を見せた。

福島県産の加工前牛乳は、3月21日に県内全域で出荷制限され、このうち喜多方市など計7市町だけが今月8日に解除された。

会津美里町荻窪の福田正幸さん(42)方の牛舎では、この日午前7時から約50頭の乳牛の搾乳を開始し、約1・5トンを会津坂下町の乳製品加工メーカーに出荷した。これまでは毎日1トン近くを廃棄。廃棄する量を減らすため、餌を半分以下に減らしていたという。

福田さんは「会津地方の牛乳は大丈夫。まだ出荷制限を受けているほかの農家の分まで頑張りたい」と話していた。

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カゴメとデルモンテ、福島トマト契約結ばぬ意向

福島県産の加工用トマトについて、大手食品メーカーの「カゴメ」(名古屋市)と「日本デルモンテ」(東京都港区)が、JA全農福島に、今年度の栽培契約を結ばない意向を伝えていたことが11日、わかった。

2社は「消費者の安全、安心を守るために判断した」などとしている。

両社は昨年度、JA全農福島からジュースなどの加工用トマト計約4000トンの納入を受けている。

契約見送りの理由について、日本デルモンテは「放射性物質を含む土壌がトマトにどう移行するかわからず、安全性が確保できない」、カゴメは「すべての契約農家の土地の安全性が検証できない」としている。

来年度は、両社とも同県内で試験栽培されたトマトの放射線に関するデータを見た上で判断するという。

JA全農福島は「県内全域の栽培農家の心情を考えると非常に残念。今後、トマトを栽培する県内14JAの代表者を集めて対応を話し合いたい」としている。

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東日本大震災:おさかな市場・森田水産、仮店舗で営業再開 県外産鮮魚並ぶ /茨城

東日本大震災で津波に襲われ全店舗が休業を強いられたひたちなか市の那珂湊おさかな市場で9日、「森田水産」が仮店舗で営業を再開した。アサリやホッケなどを買い求める県内外の客が足を運んだ。
 
本店の約3分の1の大きさの仮店舗には、千葉県産のキンメダイ、山形県産のハタハタなど県外産の鮮魚が並んだ。福島第1原発事故の影響から那珂湊漁港で水揚げがなく、地元産の鮮魚はない。カキなどを購入した相模原市から車で来た女性会社員(44)は「やっていてほっとした。早く復活できるようにがんばってほしい」と話した。
 
森田一明社長によると、客足は震災前の約10分の1。森田社長は「(客に)来てもらえてほっとした。しかし、地魚がないとウチにとっても魅力がなくなる。早く(原発問題を)なんとかしてほしい」と渋い表情で話した。
 
本店舗での営業再開は7月初めごろとなる予定。

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震災関連倒産17件に…被災地以外にも影響拡大

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帝国データバンクによると、東日本大震災の影響による倒産件数(破産準備中を含む)が7日までに17件、負債総額で192億円に上ったことがわかった。

被災地だけでなく、九州や北海道の企業が倒産した例もあり、震災の影響は今後全国に広がりそうだ。

被災地域では、福島県二本松市の佐藤旅館(負債7億2800万円)が客室や露天風呂が被災して、事業の継続を断念。青森市の百貨店、中三(同122億5000万円)は、3月14日の盛岡店での爆発事故と震災後の売り上げ低迷が原因で民事再生法を申請した。

被災地域以外への影響も深刻だ。福岡市のイベント企画会社のビーアイシー(同2億5000万円)は、震災で3月に予定していた人気ミュージシャンのコンサートが中止になり、自己破産を申請した。

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過度の自粛、困った…秩父の地元業者が悲鳴

埼玉県の秩父商工会議所は今月中旬から、回覧板で「地元商工業者も困っています」とのタイトルの文書を市内で回覧し、飲食店の利用などを呼びかけることを決めた。

市や関係団体に申請した。
文書は「自粛ムードで飲食店の利用が激減するなど、地元商工業者も非常に厳しい状況」として、〈1〉歓送迎会はキャンセルしないで〈2〉節電で消灯する店舗も利用して〈3〉地元での買い物に協力を〈4〉知人・友人に旅館や民宿を紹介してほしい――などと訴えている。

同商工会議所によると、事業者からの景気悪化に伴う相談件数は、今年1月が20件、2月が16件だったが、3月は42件。「多額の設備投資をしたのに震災で客数が激減し資金繰りに行き詰まる」(サービス業)、「計画停電の時は調理できないので、パックを作って販売しているが売れ残ってしまう」(ラーメン店)などの相談が寄せられているという。

ガソリン不足や停電に伴う鉄道の運休を受け、イチゴ狩りなどの観光農園や旅館では予約のキャンセルが多発。自粛ムードが続けば、今月の芝桜観光も打撃が避けられない状況という。

同商工会議所の松本賢治専務理事は「このままだと倒産件数が膨れ上がり、国や自治体の財政も大変なことになる。節度ある範囲で消費生活をお願いしたい」と呼びかけている。

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東日本大震災 復旧か移転か「鉄の街」商店主苦悩 岩手

「鉄の街」として栄えた岩手県釜石市で、被災した沿岸部の商店主たちが頭を抱えている。多くの人が元の場所での早期開店を望んでいるが、市は「津波に強い街」をつくろうと、移転を含めた復興計画を作る検討をしているからだ。ただ、がれき撤去や仮設住宅建設に追われ、計画策定のめどは立っていない。「店の再建後に『移転しろ』と言われても困る」。このままだと、無収入の商店主たちが街を出ていきかねない。

釜石港近くの東西約1キロにわたる商店街周辺は震災前、飲食店やホテルなど約270店が軒を連ねていた。津波で港に近かった店舗の多くが全壊。被害の少なかった店舗も1階部分が濁流にのまれた。

釜石市によると、市の人口はピーク時の1963年は現在の2倍以上の約9万2000人で、国内外からビジネス客や船員たちが訪れた。中心部の近くに新日鉄釜石工場があり、日本リーグ7連覇を果たし「北の鉄人」と呼ばれた同社のラグビー選手たちも、たびたび店を訪れた。

市は津波による被害が大きかった市街地や住宅地について、津波に強い街をつくるため移転を含めた計画を作る見通しだ。しかし「がれき撤去や仮設住宅など住民生活の再建が最優先で、都市計画まで手が回らない」(市災害復興プロジェクト推進本部)と策定時期のめどは立っていない。

商店街の各店舗は、店内の汚泥やがれきの撤去を続けている。中華料理店の男性店主(62)は「みんな残りたい。しかし、店舗を改修してから移転してくれと言われても困る。店を再開していいのか分からず無収入のままだと、我慢しきれず商店街を出ていく店もたくさん出るだろう」と話す。

阪神大震災で神戸市などのまちづくり計画策定に携わった大阪大の鳴海邦碩(くにひろ)名誉教授(都市計画)は「街の復興計画作りに早く取りかからないと、商店主らも耐えかねて外へ流出してしまう。市民の生活支援に追われる市が素早く動けるよう、国や県が早急に人材派遣などの支援をすべきだ」と指摘している。

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資材や部品足りない 都内の中小企業悲鳴

資材や部品足りない 都内の中小企業悲鳴
東日本大震災の影響で、東京都内の中小企業から、原材料不足で生産や販売が難しくなったとの声が上がっている。夏場には電力使用制限令が発動される見通しで、経営者らは「リーマン・ショックから回復しつつあった景気が一気に冷え込む」と懸念している。 (小川慎一)

中小・零細の町工場が集積する東京都大田区。自動車や携帯電話に使う電子通信機器を製造する「日興製作所」では、三千種類の製品をつくるのに、三万種類の部品が必要となる。久米正資社長(65)は「精密機器は一つでも部品がなければ作れない。代替品も価格が高騰したり、部品が東北地方に優先的に回されることもあり得る」と不安がる。

社員は九十人。茨城県筑西市の工場で、壁が壊れたり窓が割れたりした。三月十四日から再稼働したが、生産量は二割落ちた。群馬県下仁田町の工場は計画停電の影響を受けた。顧客先も停電となり、製造が完全に止まる日もあった。

最大の問題は部品の調達だ。半導体部品や銅線を製造する会社が東北地方にあり、震災被害で休業状態になった。在庫が一カ月分しかなく、調達に駆け回っている。

リーマン・ショック時に売り上げが前年の半分近くまで落ち込んだが、従業員を解雇せず経営危機を乗り越えた。久米社長は「景気が上向いてきた直後の震災。今年は正念場」と、自分に言い聞かせるように言う。

他の業種でも原材料不足は深刻だ。大田区の建築業者は「資材が手に入らない。東北に流れているし、大手の買い占めもある。このままでは工事ができない」。

足立区の製菓工場では計画停電で菓子の製造を止め、従業員を早めに帰宅させた。専務は「夏場に電力の使用が制限されれば、どういう影響が出るか想像がつかない。もし卵など原材料の品質が悪くなれば、死活問題になる」と憤る。

来年にかけて、倒産の増加も懸念される。民間信用調査会社・帝国データバンクによると、一九九五年の阪神大震災後の影響で倒産した企業は、九五年二月〜九七年四月で三百六十二社。震災後一年間は、国や自治体の金融支援で倒産は少なかったが、二年目から増加傾向に転じた。

担当者は「長引く原発事故の影響と、電力使用制限という未知の要素が加わるので、倒産件数は阪神大震災を上回る可能性が高い」と分析している。

編集後記
サブプライム問題に端を発した未曾有の「世界同時金融大不況」の到来。加えて、毎月必ず値上がりする食料品。そうした状況は家計を直撃しています。しかも、09年1月には電気、ガス、水道などライフラインの値上げも予定され、この冬のボーナスの落ち込みに耐え、平均年収が9年も下がり続ける日本の勤労者や、減益に苦しむ自営業者の、家庭の台所や生活費は、まさに“火の車”。「一億総生活危機時代」の到来です。


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「復興の玉子」に…三陸の銘菓、工場再稼働

三陸地方の銘菓「かもめの玉子」で知られる岩手県大船渡市の「さいとう製菓」が7日、東日本大震災の影響で止まっていた工場を再稼働した。

原材料の確保にめどがついたためで、鶏卵の納入量が安定する20日頃には「かもめの玉子」の生産も始める。

同社は、津波で沿岸部の本社と直営店5店が流される被害を受けた。工場も、同市沿岸部の1工場が流されたが、高台の中井工場(同市赤崎町)など2工場に大きな被害はなく、従業員約250人は全員無事だった。

6日には原材料の鶏卵などを確保。全売り上げの9割近くを生産する中井工場で製造ラインを試運転し、異常がないことを確認した。

7日に生産を始めたのは、首都圏向けに販売している関連商品「ごまたまご」。鶏卵は、現在は1日おきにしか入手できないなど原材料確保は不安定な状況だが、20日頃には震災前と同様、1日200〜300キロ・グラムが入荷できる見込みという。斉藤俊明社長は「経済が活性化しないと東北も復活できない。本格的な操業を目指し、『復興の玉子』を作っていきたい」と意気込んでいる。

編集後記
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