たも屋、小規模店FC化/九州、関東へ初出店

セルフうどん店をチェーン展開するたも屋(香川県高松市)は、都市部への進出を見据え、小規模店舗のフランチャイズ(FC)化に乗り出す。今月下旬に福岡県、9月には神奈川県に出店、小規模店のFC化で出店ペースを加速させ、本格的な全国展開を目指す。

同社はもともと大型駐車場を備えたロードサイド型店舗を得意とし、直営とFCで香川県内外に13店舗を展開している。ただ、都市部では大型店の出店が難しいことを踏まえ、テナントビルなどにも出店できる小規模店のFC化に踏み切る。

都市部向けの小規模店は「たも屋jr.」の名称で、座席数は20〜30席と従来の店舗の約半分。都市部のテナントビルのほか、大型商業施設内や駅構内への出店も想定している。

小規模店で提供するうどんは香川県高松市の本社工場で一括製造し、冷凍して各店舗へ配送する。店舗の厨房には製麺機を設置する必要がなく、小さな面積でも出店が可能になる。初期投資も抑えられるため、開店までの期間も短縮できる。

同社は本年度中に小規模店20店舗の出店を目指しており、第1弾として30日に北九州市に小倉魚町店、9月中旬には神奈川県鎌倉市に鎌倉店をそれぞれオープンする予定。



高松、ホテル競争過熱/ダイワ進出で業界に波

香川県高松市中心部でホテル業界の競争が過熱している。引き金は、今春、丸亀町商店街の再開発ビルにオープンしたダイワロイネットホテル高松。経営譲渡を機に巻き返しを図ったり、全国チェーンの低価格ホテルグループに入るなどの対抗策を打つ動きも出ており、長引く景気低迷で減るパイを奪い合う競争は激しさを増すばかりだ。

ダイワは、客室数175室と中心部では規模は比較的大きく、部屋の広さなどで「ビジネスホテルよりワンランク上」(石原邦彦支配人)が売り。業界関係者は「以前から競争が厳しい中、客室数の多いダイワの進出は大きなインパクト」と口をそろえる。

石原支配人は「景気低迷の中でもグレード感を求める層はいる」と話し、開業から稼働率は約7割を維持しているという。

同ホテルに近いドーミーイン高松は影響について、「ダイワのオープン後、週末のレジャー客が減った」と指摘。ダイワとターゲット層の重なるJRホテルクレメント高松は、全日空とのフランチャイズ契約満了で独自経営に転換したのを機に、「シティーホテルの王道として売り込みたい」(木下典幸社長)とし、飲食、宴会部門の強化で地元密着をアピールする。

一方、8月から経営母体がホテル経営ノウハウの豊富な穴吹エンタープライズ(香川県高松市)に変わったリーガホテルゼスト高松は、中央通りに面する立地の良さを生かし、ビジネス客の取り込みに注力。稼働率を従来の60%から70%に引き上げることを狙う。

中央通りを挟んで正面に立つ高松東急インは、リーガの経営権譲渡を「今すぐ影響はないだろう」と静観しながらも、9月から客室の改造を予定。コストパフォーマンスを高めて競争力を強化する。

ダイワ、リーガと並んで業界の注目を集めるのが、7月にアパホテルグループに入った、琴電瓦町駅近くのビジネスホテルアサノ。アパは1泊5千〜6千円の低価格を売りにしており、同ホテルのアパグループ入りは、高松でも加速する低価格帯ホテルの競争に拍車をかけた。

低価格帯の競合ホテルにとってアパブランドは脅威で、東横イン高松兵庫町は「知名度と目新しさから客は流れる」と懸念。同ホテルでは、8月の稼働率が例年より5ポイント程度落ち込んでいるという。

こうした高松のホテル業界の動きに、高松ホテル旅館料理協同組合の三矢昌洋理事長は「デフレが続いて観光客や出張客も減り、施設同士の横にらみの競争が続いている。生き残りには商品力や運営力が問われる」としている。

編集後記
高松のホテル業界に限らず、競争があるのが当たり前で、良いホテルや旅館が生き残り、お客様から支持されないところが消えてしまうのは仕方がないことだと思っています。

ホテル業界だけでなく、すべての業種や業態で生き残るにはお客様から支持され、売上を増やして、利益を確保しなければ継続できません。

仮に過疎地で商売をしていて、近所には競争するお店がない場合であっても常に顧客満足を考えていなければ、車を使って片道1時間以上の距離でも買い物に行かれてしまします。
実際に、過疎地の酒販店で競合店はありませんが、売れるのは缶ビールだけ。洋酒や日本酒は車で1時間以上かけて他の買い物と一緒のときに購入しているようです。

このような状況ですと、早番競合店のない酒販店は廃業に追い込まれるでしょう。
結論から言うと、お客さんから愛されるホテル・旅館やお店にならないと生き残らないし、それが当然なのです。


シャープ、絶体絶命の危機!第2の三洋電機か

シャープが絶体絶命の危機に追い込まれている。複写機やエアコンといった主要事業や自社ビル売却を検討、液晶とテレビ事業にも大ナタをふるう。外部との提携や事業バラ売り、金融支援を受けようとする姿は、エルピーダメモリや三洋電機の姿と重なる。

「液晶の雄」と呼ばれ、昨年の地デジ特需が終わるまでは薄型テレビを売りまくったかつての勝ち組企業も今は昔。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が筆頭株主になることだけでは再建策は終わらなかった。

複写機やエアコン、電子部品など主要事業の売却を検討するほか、同社の象徴だった亀山工場への外部からの資本受け入れや、国内のテレビ組み立てからの撤退を視野に入れる。

さらに太陽電池工場の一部売却や、首都圏の営業拠点である「東京市ケ谷ビル」(東京都新宿区)や「幕張ビル」(千葉市)の売却も検討。「リストラもシャープ」と冗談も言えないほどの深刻事態だ。

シャープを大リストラに追い込んでいるのは業績の悪化と市場の厳しい視線だ。シャープは2013年3月期の最終赤字が2500億円に膨らむと発表、鴻海が出資の条件を見直すことを明らかにした。これを受けてドイツ証券は目標株価を従来の365円から110円に、ゴールドマン・サックス証券も従来の280円から190円に引き下げた。

シャープの信用リスクを取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)は一時2500bp(ベーシスポイント)まで上昇、「エルピーダやJALの破綻時と同水準」(市場関係者)と警戒が広がった。

来年9月に転換社債約2000億円の償還期限を迎えるなど、財務体質の強化が急務のシャープに対し、みずほコーポレート銀行や三菱東京UFJ銀行などは金融支援で応じる姿勢だが、「銀行主導で事業のバラ売りを進める方向性はかつての三洋電機、提携候補との交渉が難航する様子は破綻前のエルピーダメモリとよく似ている」(市場関係者)との声も聞かれる。

シャープは今後、中小型液晶や携帯電話機などの事業に絞り込んで生き残りを図る。「頼みの綱はアップルのiPhone(アイフォーン)やiPad(アイパッド)向けの液晶パネル生産。いわばアップルの“部品工場”に活路を見いだすしかない」(電機担当アナリスト)というのも寂しい話だが…。

編集後記
「目のつけどころが、違う」というキャッチフレーズでコマーシャルを流していたシャープですが、このような悲惨な展開になるとは想像できませんでした。

経営資源を液晶パネルに注ぎ込んで、テレビだけでなく、ゲーム機や携帯電話の液晶パネルではそれなりの実績を残してきましたが、これほどテレビの売上が落ち込むとは予想できなかったのでしょうね。

ブラウン管テレビがなくなってからわずか2年で、日本の液晶パネル事業が窮地に追い込まれた格好になっています。

起死回生の方策は見つかっていませんし、電機業界全体が不況の中で、どこに活路を見出すか期待を込めて見守りたいと思っています。

日本航空でさえ、一時は再起不能と言われていましたが、2012年9月には再上場するようになったのですから
シャープには日本の企業の底力を見せて欲しいものですね。

姿消すファーストクラス…企業が不況で節約

米国など世界の航空会社で、空飛ぶホテルとも呼ばれる「ファーストクラス」が急速に姿を消しつつある。欧州債務危機など世界的不況で企業の経費節減の対象になっており、航空各社がリストラを余儀なくされている。

「ファーストクラスの死」。そうショッキングな見出しを掲げた特集記事を先月掲載したのは米紙ウォールストリート・ジャーナルだ。同紙によると、米航空会社が欧州やアジア、南米に就航している航空機約500機のうちファーストクラスを提供しているのは3割未満にとどまる。

アメリカン航空は今年5月、国際線ファーストクラスの座席数を約9割も減らす計画を発表。ユナイテッド航空も約3分の1削減する見通しだ。米航空会社だけでなく、オーストラリアのカンタス航空も一部の長距離路線を除いてファーストクラスを廃止し、ドイツのルフトハンザ航空も座席数を縮小している。

フルフラットシートや個室など豪華なサービスのファーストクラスは正規料金が往復1万5千ドル(約120万円)を超す便もある。以前から「料金とサービスが見合わない」との声はあったが、欧州債務危機や米景気の減速で、富裕層は財布のひもを締め、法人客も出張予算が削られる中、利用者が減少。利用する人もマイルをためてアップグレードする人が多く、正規料金を支払うのは国際線で25%にとどまるという。

航空会社としては、利用客が減ればコストの高いファーストクラスを維持するのは困難。一方で窮屈なエコノミークラスへの不満は根強く、エコノミークラスに追加料金を払えば若干広めの座席に座れるサービスやビジネスクラスを拡充する動きが広がっている。

欧米の航空会社各社は燃料費の高止まりや、格安航空会社(LCC)の相次ぐ参入などによる競争激化で収益が悪化しており、今後もファーストクラスの減少は続きそうだ。

日本の航空会社のファーストクラスは、「増えも減りもしていない」(日本航空)状況。「米国の航空会社は供給過剰だった」(航空アナリスト)という指摘もあり、事情が異なる。

ただ、日航、全日本空輸とも、国際線を大幅に拡充する計画の中、ファーストクラスの増強には及び腰。全日空は、ゆったりと座れる「プレミアムエコノミー」を欧米路線に導入する。

編集後記
飛行機のファーストクラスの使用が減少している理由として経費の削減が言われていますが、昔はエコノミークラスとファーストクラスの2つしかなかったのですね。
航空会社がプレミアムエコノミーやビジネスクラス(エグゼクティブクラス)を作ったことも要因の一つではないでしょうか。

JALのサイトで成田〜ニューヨークで検索してみたら、全部普通運賃なのでエコノミーとかはもっと安いのもたくさんあるみたいです。
エコノミー 405,300円
プレミアムエコノミー 623,400円
ビジネスクラス(エグゼクティブクラス) 1,042,400円
ファーストクラス 1,957,500円
金額の差ほどのコストパフォーマンスがあれば需要もあるのでしょうがね。

ファーストクラスの減少に対して、プレミアムエコノミーやビジネスクラス(エグゼクティブクラス)の利用状況も合わせて知りたいですね。

貧富の差が拡大している中で、本当の富裕層は自家用ジェットを使っているのですね。1977年に主演した青春映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のヒットでスターになったジョン・ジョセフ・トラボルタはボーイング707を所有しているだけでなく、自宅に飛行場まで持っているのですから。


住宅業界、独身女性に熱視線 防犯・インテリア・美容にこだわり

シングルライフを満喫するため、住居にお金をかける女性が急増、住宅業界が熱い視線を注いでいる。防犯やインテリア、美容…住まいに求める彼女たちの思いに応えようと、各社がこぞって商品を投入している。

総務省の平成21年全国消費実態調査によると、30歳未満の働く単身女性が最も支出しているのは住居費で、総支出額の約3割を占める。食費が最大項目である同世代の男性とは際だった違いだ。

「50〜60平方メートルのコンパクトなマンションを買うシングル女性が増えている」と指摘するのは、リクルートの住宅情報サイト「スーモ」の池本洋一編集長。一人暮らしに適した分譲マンションを買い求める傾向は年々高まっているという。

こうした流れを受け、住宅各社は小さめのマンションにセキュリティーシステムやミストサウナ、ペットの足洗い場などの設備を充実させ、単身女性の獲得競争を繰り広げている。

「スーモ」の調査によると、新築分譲マンションを購入した関西の独身女性の比率は、19年の4・4%から23年には8・2%に倍増した。

独身でマンションを買えるとは、さぞ経済力のある女性…と思いがちだが、内実は違う。

調査結果によると、購入者の年収では600万円未満が全体の約65%を占める。400万円未満だと26・5%。「リスクはあっても、堅実に将来を考えている」(池本氏)女性像が浮かび上がってくる。

一方、賃貸集合住宅でも、単身女性をターゲットにしたサービスが続々と登場している。

大和ハウス工業や積水ハウスが、防犯機能や収納などにこだわった賃貸住宅を投入。パナホームも7月から、単身女性向け賃貸集合住宅「ラシーネ」の全国展開に乗り出した。

また、賃貸アパート大手のレオパレス21は、部屋の内装を自由に変えられる「お部屋カスタマイズ」サービスを5月にスタート。1年半以上の継続利用契約を結べば、45種類の壁紙の中から無料で好きなものを選べる。退去時も原状回復は不要。

「賃貸住宅は部屋のデザインを変えられない」という不満に応える“ありそうでなかった”サービスで、7月には壁紙の種類を増やした。

壁紙の変更のほか、収納棚をつけるなど、賃貸カスタマイズのサービスは全国的に広がっており、「スーモ」では、賃貸住宅のカスタマイズをテーマにした関西専用ウェブサイトを6月にオープンした。今後も単身女性をターゲットにしたサービスが広がりそうだ。


円高で年商1000億円以上でも11.5%赤字

直接・間接を問わず海外との輸出取引をしている企業は国内に3万3273社あるが、年商1億円未満の零細企業の41.6%が赤字に陥っていることが帝国データバンクの調べで分かった。年商1000億円以上の企業でも11.5%が赤字に陥っていた。

帝国データバンクが13日発表したところによると輸出取引のある企業は製造業で1万4845社、卸売業で1万4436社、サービス業1993社、小売業854社、建設業448社などとなっていた。年商では1億円以上10億円未満が1万4894社と全体の44.8%を占め、最も多かった。

円高による7月の関連倒産(負債額1000万円以上)は17件と2008年1月の集計開始後最多になっているが、帝国データバンクは今後の見通しについて「対ユーロ、対ドルともに円の全面高が続いており、長期化の様相を呈している。中小製造業者では主力得意先メーカーが海外シフトし受注が急減。このため倒産に追い込まれるケースが散見されるなど産業空洞化の影響が出始めている」としている。そのうえで「過去の円高局面で疲弊している企業が多く、経営体力に乏しい零細輸出企業を中心に関連倒産が増加する可能性がある」と警鐘を鳴らす。


猛暑で不人気…根菜やキャベツが値下がり 逆手に取りスーパーではセールも

ジャガイモやニンジンなど、一部の野菜で値下がりが続いている。生育が順調で流通量が増えていることに加え、連日の猛暑で、熱を通す必要のある野菜の買い控えが進んでいるため。スーパーにとっては優位な仕入れが可能で、商機ととらえてセールの展開も活発だ。

大田など東京都内の4市場の11日の卸値は、ジャガイモが1キロあたり96円と平年比で約3割安のほか、ニンジンも同98円と2割以上の安値。葉物野菜のキャベツやレタスも3割以上安い。店頭価格も卸値を反映、ある都内のスーパーは「ここしばらくは、3〜4割安が相場」と話す。

低価格の理由は、例年を超える供給増だ。これらの野菜は、6〜7月に生育するが、同時期に適度な降水があったほか、「夜間の温度が比較的低く、病害虫のリスクが減ったことで歩だまり率が高まった」(農水省園芸作物課)。8月中はこの状態が続くという。

売り上げの減少も一因。梅雨明けからの猛暑で、節電意識から、主婦などが火を使った調理を敬遠した。デパ地下では、「揚げ物系を中心に総菜売り場の売り上げが好調」(大手百貨店)となる一方、スーパーなどでは、「煮物料理に使われる根菜などの売り上げが落ちている」(都内のスーパー)という。

こうした中、安値の野菜をセールの目玉にするスーパーも登場。ダイエーは特売で、ジャガイモやニンジンなどを販売。

東日本の一部店舗で両商品を1個(本)29円(今月9日)という「通常より10円ほど安い」(担当者)価格で売ったところ、夕方を待たずに用意したニンジン約500本がほぼ完売する店舗も出た。マルエツは、「まとめ買いでも割安感がある」点に着目。ジャガイモ4個を1袋にまとめ、100円以下の価格をつけるなど、「数をさばいて収益に結びつける」(広報)戦略だ。


8月も猛暑商戦“夏バテ知らず” 飲料販売は高水準、水のレジャーも注目

猛暑が個人消費を押し上げている。7月から飲料や家電、クールビズ衣料など関連商品の売上高が急増し、8月以降も高水準で推移している。また、節電が続く中、改めてプールなど水のレジャーも注目されている。

イトーヨーカドーは7月末から8月初めの1週間、ビールや炭酸飲料など飲料の売上高が昨年同期比20%増。セブン−イレブンではアイスクリームが20%増、冷やし中華などが30%増で「ロンドン五輪観戦用の夜食需要も効果的だった」(セブン&アイ・ホールディングス)。

キリンビバレッジでは、大ヒットを記録する特定保健用食品「キリン メッツコーラ」を中心に、炭酸飲料全体の販売数量が7月以後40%増という。

高島屋東京店(東京都中央区)では7月下旬以後、ジューサーが3倍の売れ行き。「家庭で野菜ジュースを作って栄養補給する人が増えた」という。

クールビズ衣料の勢いも衰えない。青山商事では、吸汗性に優れた半袖シャツなど機能性衣料の売上高が7月下旬以降30%増。伊勢丹新宿本店(同新宿区)では、男性用化粧品が1.5倍で「汗や日焼け対策に気を使う男性が急増している」。

また、イオンではシャワーヘッドが3倍の売れ行き。「暑さでシャワーを浴びる回数が増え、節水タイプなどへの買い替え需要が出た」という。

一方、「近場で手軽に涼を取れるレジャー」としてプールの人気が高い。としまえん(同練馬区)では家族を中心に、7月下旬以降の入場者が10%増。京王プラザホテル(同新宿区)は夕方の割引料金を導入して利用者が倍増した。グランドプリンスホテル新高輪(同港区)も同様のプランを導入し、35%増となった。

気象庁によると、7月は下旬からの猛暑で、月平均では気温や日照時間が平年を上回った。8月以降も降水量が少なく厳しい残暑が続いている。第一生命経済研究所の永浜利広・主席エコノミストは「猛暑による消費押し上げ効果は約2000億円」と試算している。


増える 書店ゼロの街 

街のどこにも本屋さんがない。そんな市町村が増えている。首都圏でも、筑波研究学園都市に隣接する茨城県つくばみらい市が、全国に四つある「書店ゼロの市」の一つに。一方、北海道留萌(るもい)市では官民一体となって書店を誘致し、ゼロから抜け出すなど、新しい動きも出始めている。 (中村陽子、写真も)

「本をどこで買いますか?」。つくばみらい市内のつくばエクスプレス(TX)「みらい平」駅前。立ち話をしていた三十代の主婦二人に質問すると「ないんですよ、本屋さんが」と、顔を見合わせてうなずいた。「引っ越してきてびっくりしました。大の読書家の夫は、車で隣の守谷市まで買いに行ってます」

二〇〇六年に伊奈町と谷和原村が合併したつくばみらい市。みらい平駅から都心の秋葉原駅まで、〇五年に開通したTXで最速四十分というアクセスの良さもあり、六年間で人口が一割以上増えて四万六千人余になった。ところが近隣の市に大型書店ができた影響などから、関東鉄道小絹(こきぬ)駅近くのチェーン書店が閉店。五年ほど前から市内に書店がない状態だ。

書店の動向に詳しい出版社「アルメディア」(東京)の加賀美幹雄代表は、TX発着駅の秋葉原に大型書店ができたことを挙げ「地元客が大都市の商圏に吸収されてしまった可能性もある」とみる。同社の調査では、今年五月現在、全国の自治体の17%にあたる三百十七市町村が「書店ゼロ」。五年前より八市町村増えた。市では、鹿児島県垂水(たるみず)市でも書店が姿を消した。

つくばみらい市には昨年、駅前への書店誘致を求める投書が相次いだ。市産業経済課がチェーンの書店に出店を働き掛けたが、色よい返事はなかったという。「民間の商売なので、こちらの希望だけで進めるのは難しい」と担当者は話す。

一方、ゼロから新たに書店が誕生した例もある。留萌市に昨夏オープンした三省堂書店の支店「留萌ブックセンター」だ。JR留萌駅から車で十五分。国道沿いの百五十坪の店内に十万冊を置く。

人口二万四千人の留萌市は、一〇年末に唯一の書店が閉店。「一番近い本屋さんも車で一時間かかるようになった」と主婦武良(むら)千春さん(50)は振り返る。武良さんは市立図書館や道留萌振興局に相談し、有志で誘致団体を結成。一一年春、「出店したら、ポイントカードの会員になる」という二千人以上の署名を書店側に提出。こうした熱意が実って出店が決まった。

開店から一年。店は武良さんら市民が、ボランティアで支援している。約二十人が交代で、早朝から雑誌に付録を挟む作業などを手伝う。店長の今拓己さんは「店員は八人ほど必要です。でもうちは六人雇うのが精いっぱい。みんなに助けてもらっている」。

行政も後押しする。道は三省堂書店と協定を結び、イベントや観光のPRなどで互いに協力する。武良さんは「予想もしていなかった方向に協力が広がった。ブックセンターはいま、本を買う場所以上の存在」と言う。

留萌の例は、つくばみらい市などにも応用できるのか。三省堂書店本社(東京)の担当者は「留萌の場合、店を継続できる程度の売り上げはあり、成功とみている」と話すが、「市民の熱意と行政の協力が重なったまれな例。採算を度外視した出店はできず、どこでも出せるわけではない」と慎重だ。

「『本屋』は死なない」(新潮社)などの著書があるライター石橋毅史(たけふみ)さんは「街の書店の経営はビジネスとしては厳しく、姿を消すのも当然の流れ。だが、経済的価値と異なる『別の何か』を求める人も増えている。書店はその『何か』を手渡す場所になり得ると思う」と話す。


シャープの誤算 見誤った液晶パネルの海外生産…追加リストラ必至か

1週間前の8月2日。東京都内で開かれた緊急会見で、シャープの奥田隆司社長は厳しい表情でこう切り出した。

「今のアクオスというテレビそのものでは、日本での生産継続はない。新しいテレビを生み出すのが体制見直しの目的だ」

テレビの国内生産を続けるため、次世代テレビの開発に注力する考えを示したが、これを聞いた元韓国サムスン電子常務で、東京大学特任研究員の吉川良三氏は「次世代テレビは韓国や米国が規格作りでリードしており、太刀打ちするのは容易ではない」と先行きを懸念する。

シャープの業績悪化の主因は薄型テレビと液晶パネルの価格下落だ。その予兆は6年前にあった。平成18年8月、シャープは第8世代と呼ばれる大型液晶を製造する亀山第2工場(三重県亀山市)を稼働させた。月産3万枚(1枚で40型8枚分)の生産能力を誇る当時、世界最新鋭の設備である。技術流出を恐れ、同社はパネルの国内生産にこだわった。

「シャープの最大の誤算はグローバル展開を完全に見誤り、国内生産に力を入れてしまったこと」。吉川氏はこう話した上で、「世界の市場で戦うならば、海外で生産すべきだった」と指摘する。その後、液晶パネルの市場価格はジリジリと低下した。20年7月にはテレビ用32型パネルが300ドルの大台を割り、同年9月にはリーマン・ショックが起きた。

通常ならば、クリスマス・年末商戦に向けて上昇するはずの液晶パネル市況は需要の低迷と供給過剰があわさって急降下。シャープは21年3月期連結決算で1258億円の最終赤字に沈んだ。パネルを海外でも生産するよう方針を転換したのは21年4月になってからだった。

シャープは24年3月期決算で981億円の在庫評価損を計上したが、大型液晶などを生産する堺工場(堺市)については、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業グループとの共同運営にすることで減損処理を回避した。

しかし、同工場の今年4〜6月期の操業率は30%程度に低迷。7〜9月期以降は80%以上を見込むものの、鴻海によるパネルの引き取りやシャープの外販先の確保が滞れば、巨額の減損は避けられない。

経営不振に陥ったシャープは主要取引銀行に支援を求めており、銀行側も追加融資を検討中だ。ただ、財務健全性を示す自己資本比率は今年3月末時点の24・6%から6月末には18・9%まで急落。銀行にとっては、シャープの事業成長の道筋が見えない限り、同社に対する融資の格付けが下がり、銀行自身の自己資本比率の悪化につながる。追加的なリストラを求められるのは必至だ。


日々の経営に行き詰まりを感じたり、ストレスがなかな取り除けないと思ってダラダラと仕事をしていませんか。
ときには、非日常を求めて、癒しを求めてちょっとだけ旅行でもしてみてはいかがでしょうか。
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