香川県高松市中心部でホテル業界の競争が過熱している。引き金は、今春、丸亀町商店街の再開発ビルにオープンした
ダイワロイネットホテル高松。経営譲渡を機に巻き返しを図ったり、全国チェーンの低価格ホテルグループに入るなどの対抗策を打つ動きも出ており、長引く景気低迷で減るパイを奪い合う競争は激しさを増すばかりだ。
ダイワは、客室数175室と中心部では規模は比較的大きく、部屋の広さなどで「ビジネスホテルよりワンランク上」(石原邦彦支配人)が売り。業界関係者は「以前から競争が厳しい中、客室数の多いダイワの進出は大きなインパクト」と口をそろえる。
石原支配人は「景気低迷の中でもグレード感を求める層はいる」と話し、開業から稼働率は約7割を維持しているという。
同ホテルに近い
ドーミーイン高松は影響について、「ダイワのオープン後、週末のレジャー客が減った」と指摘。ダイワとターゲット層の重なる
JRホテルクレメント高松は、全日空とのフランチャイズ契約満了で独自経営に転換したのを機に、「シティーホテルの王道として売り込みたい」(木下典幸社長)とし、飲食、宴会部門の強化で地元密着をアピールする。
一方、8月から経営母体がホテル経営ノウハウの豊富な穴吹エンタープライズ(香川県高松市)に変わった
リーガホテルゼスト高松は、中央通りに面する立地の良さを生かし、ビジネス客の取り込みに注力。稼働率を従来の60%から70%に引き上げることを狙う。
中央通りを挟んで正面に立つ
高松東急インは、リーガの経営権譲渡を「今すぐ影響はないだろう」と静観しながらも、9月から客室の改造を予定。コストパフォーマンスを高めて競争力を強化する。
ダイワ、リーガと並んで業界の注目を集めるのが、7月にアパホテルグループに入った、琴電瓦町駅近くの
ビジネスホテルアサノ。アパは1泊5千〜6千円の低価格を売りにしており、同ホテルのアパグループ入りは、高松でも加速する低価格帯ホテルの競争に拍車をかけた。
低価格帯の競合ホテルにとってアパブランドは脅威で、東横イン高松兵庫町は「知名度と目新しさから客は流れる」と懸念。同ホテルでは、8月の稼働率が例年より5ポイント程度落ち込んでいるという。
こうした高松のホテル業界の動きに、高松ホテル旅館料理協同組合の三矢昌洋理事長は「デフレが続いて観光客や出張客も減り、施設同士の横にらみの競争が続いている。生き残りには商品力や運営力が問われる」としている。
編集後記
高松のホテル業界に限らず、競争があるのが当たり前で、良いホテルや旅館が生き残り、お客様から支持されないところが消えてしまうのは仕方がないことだと思っています。
ホテル業界だけでなく、すべての業種や業態で生き残るにはお客様から支持され、売上を増やして、利益を確保しなければ継続できません。
仮に過疎地で商売をしていて、近所には競争するお店がない場合であっても常に顧客満足を考えていなければ、車を使って片道1時間以上の距離でも買い物に行かれてしまします。
実際に、過疎地の酒販店で競合店はありませんが、売れるのは缶ビールだけ。洋酒や日本酒は車で1時間以上かけて他の買い物と一緒のときに購入しているようです。
このような状況ですと、早番競合店のない酒販店は廃業に追い込まれるでしょう。
結論から言うと、お客さんから愛されるホテル・旅館やお店にならないと生き残らないし、それが当然なのです。