天狗屋は同店4代目の店主、江口明さん(62)の妻のふじえさん(63)の曽祖父が、群馬県の鬼石から移ってきて開店。味の良さと「テレビ(16インチ)を秩父で3番目に入れた」(江口さん)ことが評判を呼び、1955年ごろにはプロレス中継などで店の外まで人が並ぶ盛況ぶり。江口さんは「昭和30〜40年ごろは本当に忙しかった。お店が料亭の許可を得ていたこともあって、芸者さんも上がったんだよ」と当時を懐かしむ。
その後2000年ごろまでは右肩上がりで繁盛していたが、景気失速とともに出前が減少。10年前からは江口さんにがんが見つかり、入退院を繰り返すようになって店を閉める日が増えた。さらに、電線地中化や区画整理のため、閉店を余儀なくされた。江口さんは「70歳までは現役で店を続けようと思っていたが、寂しい。先代のころから来てくれているお客さんたちには感謝したい」と話す。
建物は明治期のものとされ、色ガラスや独特ののれんと行灯が風情を誘う造り。ガラガラと音を立てる引き戸をくぐると、間口が狭くて奥が深い京都の町屋風だ。店内には天狗のお面や昭和初期のせいろ、岡持ちが並んでいる。有形文化財などに指定されておらず、拡幅工事の都合で来年3月までには解体される予定だ。
大家の新井嘉樹さん(70)は「何代にもわたってお付き合いしていた店がなくなるのは寂しい。秩父は駐車場や更地が増えて“虫食い状態”。(歴史的な建物が消えてしまうので)道を広げることは、街づくりからは逆行しているのではないか」と疑問を投げかけていた。
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