消費低迷で2年連続で倒産が増加していた小売業界だが、新型コロナウイルス感染拡大で様相が一変した。2020年の小売業倒産(負債1000万円以上)は1054件(前年比14%減)と、1991年以降の30年間で最少を記録した。
小売業倒産は、深刻な人手不足から人件費の上昇や2019年10月の消費増税で、2019年7〜9月期は361件(前年同期比29%増)、10〜12月期も312件(13%増)と、倒産が急増した。
2020年1〜3月期も277件(2%増)と増勢が続いたが、そこに新型コロナウイルス感染拡大による政府の支援策が功を奏し、4〜6月期259件(9%減)、7〜9月期285件(21%減)、10〜12月期233件(25%減)と、減少に転じている。
コロナ禍で緊急事態宣言の発令に加え、休業・時短営業の要請やインバウンド需要の消失で、2020年の飲食業倒産は過去最多を更新したが、新しい生活様式と三密回避が広がり、外出自粛、企業の在宅勤務で巣ごもり需要が生まれ、業績を下支えした。
上場会社の倒産は、5月のレナウンの1件にとどまった。
■飲食料品小売業の倒産2年ぶりに減
業種別では、最大の減少率は「飲食料品小売業」の前年比23%減(316→244件)で、2年ぶりに前年を下回った。
各種食料品小売業(前年比39%減、59→36件)、酒小売業(27%減、26→19件)、野菜・果実小売業(22%減、18→14件)、菓子・パン小売業(19%減、72→58件)などで減少し、コロナ禍での巣ごもり需要の恩恵が大きかったことがわかる。
次いで、「織物・衣服・身の回り品小売業」の前年比17%減(236→197件)で、2年ぶりに前年を下回った。男子服小売業(前年比38%減、40→25件)、婦人・子供服小売業(8%減、108→99件)で減少している。「コロナ禍で店舗休業や営業時間の短縮はあったが、外出自粛や在宅勤務の広がりで高額品よりカジュアルウェアなどの需要が貢献したとみられる」と分析している。
このほか、「機械器具小売業」が前年比8%減(204→187件)で2年連続、「無店舗小売業」が8%減(102→94件)で3年ぶりに、それぞれ前年を下回った。
小売業のうち、「織物・衣服・身の回り品小売業」「飲食料品小売業」「機械器具小売業」、家具や書籍小売などを含む「その他の小売業」は、1991年以降の30年間で件数は最少になった。
■原因別 「販売不振」が854件と8割
原因別は、最多が「販売不振」の854件(前年比15%減)。次いで、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」84件(18%増)、「他社倒産の余波」38件(7%減)と続いている。
「不況型倒産」(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は938件(前年比13%減)。小売業倒産に占める構成比は89%(前年87%)で、前年よりも2ポイント上昇し、30年間で最も高い水準となった。