新型コロナウイルスの感染者は新潟県内では減少傾向にありますが、収束はまだ見通せないのが現状です。こうした中、飲食店が置かれている状況は厳しさを増しています。新潟市の飲食店からは「もう限界」と、悲痛な声が聞こえてきました。
新潟市中央区にある居酒屋「笑太」です。店を構えて16年。これまで、夜のみの営業でした。
【笑太 神藤太代表】
「正直、今年入って、去年の緊急事態宣言の時よりも売り上げは悪いですね」
首都圏からの人の往来がなくなり、さらに外出自粛が続いているため店の売り上げは減り続けています。こうした厳しい現状を少しでも打破しようと、神藤さんは2月からランチ営業に踏み切りました。
「いらっしゃい」
顔なじみのお客が訪れると、つい本音が…。
【笑太 神藤太代表】
「『今を乗りきる』って、『今』っていつまで続くのかなって、誰も分からない…」
国は去年4月に発令した緊急事態宣言により営業を自粛し影響を受けた事業者を支援するため、神藤さんのような個人事業主に持続化給付金を給付しました。さらに、新潟県や新潟市もこれに伴い、時短営業協力金を支払いました。しかし、神藤さんの店ではこうした支援金120万円は、1か月の水道料金や店の維持費で底を突いてしまいました。
【笑太 神藤太代表】
「このままのペースだと、来月にはもう蓄えは全部底を突くような感じ。もう限界が来ていますので、何とかサポートしていただいて、持ち直した分を何らかの形で我々が還元できればいいかなと思う」
現在、新潟県は独自の「警報」を出し、感染拡大防止を呼び掛けていますが、飲食店に対して営業時間の短縮は要請していないため、飲食店への支援はありません。こうした飲食店経営者の悲痛な声、神藤さんの他にも多く聞かれました。
「このままだと、本当にやばいです」「私たちを見捨てないで」「手を打ってください」
次々と上がってくる訴えは、新潟市内で飲食店を営む82人の「悲鳴」です。
【月ひかり 中坪雅志店主】
「『もうつぶれそうだ』『家にどうやってお金を持っていけば…』『スタッフの給料がない』とか、限界を超えた状態で今やっている。どのお店も」
なんとか行政に救いの手を求めようと、先頭に立ったのは古町の居酒屋「月ひかり」の店主・中坪雅志さんです。SNSで呼び掛けを始めると、11日からの3日間で82店舗から窮状を訴える声が集まりました。
【月ひかり 中坪雅志店主】
「もう悩みは、どこにぶつけたらいいのか…。苦しいです。なんとか少しでも”お金”という部分で支援していただいて、お客さまが戻ってきたら、そのときにはもっと笑顔で」
「これ以上、街から明かりを消したくない」と、思いは切実です。中坪さんや神藤さんは市内82店舗の声とともに、支援を求める要望書を新潟市に提出する予定です。