交流、新発想も…「シェアオフィス」地方在住者の味方に

近年、注目を集める「シェアオフィス」。同じオフィス空間を異業種の人々が共同で使うことによって交流が生まれ、新たな発想にもつながると期待されている。主にフリーランスで働く人の利用が多いが、最近では特に地方在住の自営業者の拠点としても使われており、「進出の足がかりになる」と好評だ。

今年10月、アパレル関連のオフィスが多く立ち並ぶ大阪市西区のオフィスビル。3階にシェアオフィス「シゴトバBASE」がオープンした。約250平方メートルのフロアには14区画の個人専用ブースが並ぶ部屋と、利用者なら誰でも自由に使える「フリーゾーン」、会議室などが用意されている。1カ月の契約料は6千〜3万2千円。近隣の貸しオフィスが10坪で約10万円、さらに光熱費などもかかることを考えると、格安の契約料だ。現在、フリーランスのウェブデザイナーや会計士ら10人が登録し、さらに10人が登録予約中という。

岡山県美作(みまさか)市で木材の製材と販売を行う「福島製材所」を経営する福島徹さん(37)はオープンと同時に利用を始めた。「都市部での国産木材の消費を促進しようと、昨年からたびたび岡山から大阪に足を運んで営業をしています。支社を作るほど余裕はありませんが、契約料が安価なシェアオフィスを利用すると営業用のサンプルを置く場所を確保できるし、資料のプリントアウトも簡単。仕事がしやすくなりました」と利点を話す。シェアオフィスを利用するまでは喫茶店やホテルを大阪での拠点にしていたという。

滋賀県甲賀市でピザ卸業などを手掛ける「バランス」を経営する能登正太さん(28)も、百貨店などとの商談で大阪市内に出張したときの拠点として利用している。「地方で働く者にとって、都市部に仕事の拠点があるのは助かります」

もともと、市内の別のシェアオフィスを利用していたが、利用者がIT関連の事業者に偏っていたため、もっとさまざまな業種の人が集まるオフィスを探し、「シゴトバBASE」に移った。同オフィスでは年に10回程度、外部から講師を招いてトークイベントを開催したり、ディスカッションやプレゼンテーションの技術力を高めるセミナーを予定したりしており、「その点も魅力でした。異業種の人と交流して仕事の幅が広がれば」と期待する。

「シゴトバBASE」が入居しているビルのオーナーで、雑貨の企画・輸入卸業「元林」(大阪市西区)は、大阪での順調な滑り出しを受け、同社の東京支社ビルにもシェアオフィスを作ることを計画している。

一級建築士で「シゴトバBASE」をプロデュースする松浪光倫さん(35)は「単に仕事をする場所を提供するだけではなく、1人ではなかなか手に入れられない技術や出会いを提供できるのがシェアオフィスの魅力。地方から都市部に出て仕事をする人と、都市部のクリエーターと才能との融合から生まれる新しいタイプの仕事もここから発信できれば」と話している。

2000年代に入って登場したシェアオフィス。東京を中心に大阪や京都、福岡などの大都市で広がりを見せている。開発が進むJR大阪駅北側の「うめきた地区」(大阪市北区)に来春オープンする「ナレッジキャピタル(知的創造拠点)」には“究極の”シェアオフィス。事務所スペースの「コラボオフィス」には、大学や大手企業の研究室やクリエーターらの入居を募り、交流スペースも設ける。ナレッジキャピタル代表理事の宮原秀夫・元大阪大学総長は「人が交流する場所を提供すれば有意義なものが自然発生的に生まれるはず」と期待している。

編集後記
がんばりすぎない「倒産のススメ」
事業を手がけてきて失敗をしたと悟ったら、いたずらに倒産を恐れず、できるだけ早期にいさぎよく“負け”を認めよう。
その上で、どうすれば迷惑を最小限に抑えられるかを考えてそれを実行し、自分自身は次にどう生きるかを検討するべきだ。
もと倒産社長が、自らの経験と多くの取材で得た「再起のための勇気ある決断」と撤退のノウハウとは。

【送料無料】こうなったら会社はたたみなさい
日々の経営に行き詰まりを感じたり、ストレスがなかな取り除けないと思ってダラダラと仕事をしていませんか。
ときには、非日常を求めて、癒しを求めてちょっとだけ旅行でもしてみてはいかがでしょうか。