<最低賃金>引き上げ議論大詰め 労働者から切実な声

今年度の最低賃金引き上げの目安額を決める国の中央最低賃金審議会の議論が大詰めを迎え、来週中にも決定する。焦点となるのは、最低賃金が生活保護の給付水準を下回る北海道など11都道府県と、震災による経済的ダメージへの配慮で昨年度は1円アップにとどまった被災地をどうするかだ。ぎりぎりの低賃金で働く人たちから、引き上げを求める切実な声が上がる。

11都道府県で生活保護費下回る
バブル崩壊後の不況が今なお続く北海道。札幌市東区のハローワーク札幌北には「時給705〜705円」の求人票が目立つ。705円は北海道の最低賃金。「『昇給あり』と書いてある職場で働いても、上がったためしがない」。東区の独身女性(46)が顔をしかめた。

現在フルタイムのパート勤めをする小売店の時給は最低賃金で、週休1日でサービス残業もあり、体がきつく転職を考え始めた。北海道の最低賃金は、札幌の生活保護費を時給に換算した額を30円下回る。女性の収入は甲状腺を患い生活保護を受けている友人とほぼ同額だが、友人の暮らしも同じくらい厳しい。「生活保護を下げるべきだとは思えない。これだけ働いて生活が楽にならないのがおかしい」と憤る。

最低賃金ぎりぎりの仕事は若年層にも広がる。西区の男性(19)は高校を出て就職した食品加工会社が月収12万円弱。人員削減の対象となり、職を探し始めて3カ月。8月で失業手当が切れるが、時給のいい仕事はほとんどが3〜4時間の短時間雇用で、ダブルワークになるしかない。男性は「結婚はとてもできない。せめて時給800円の仕事があれば」と肩を落とす。

2児を育てる北区のシングルマザーの女性(31)も、最低賃金のNPO法人で働く。母の年金、児童扶養手当、児童手当を合わせても、月の収入は19万円。4人で暮らすには到底足りず、生活保護で補う。「ケースワーカーから『もっと賃金のいい仕事を探すように』とプレッシャーを受ける。世間の目も気になり、早く自立したい。でも、今の札幌では特別な資格の要る仕事以外、ほとんどが最低賃金レベルの仕事なんです」

被災地は待遇改善ほど遠く
被災地の雇用状況も依然、深刻だ。中小零細企業が多い三陸沿岸では、まだようやく事業を再開した段階で、従業員の待遇改善にはほど遠い職場も多い。

沖縄県や高知県と並び、最低賃金が全国最低(645円)の岩手県。震災後に再開した水産加工会社の下請け工場に勤める陸前高田市の女性(58)は、時給650円で月収は10万円に満たない。夫は体調を崩して休職中。短大に進んだ長女と次女の教育ローンが家計を圧迫し、高校生の長男のバス代を節約するため、学校まで車で送迎している。「家を流されなかっただけいい」と自分に言い聞かせているという。

シイタケなどを栽培・販売する同市の「きのこのSATO販売」の佐藤博文社長は震災後に約20人を新規採用し事業拡大を目指すが、賃金は最低賃金からのスタートだ。佐藤社長は「地域経済の活性化にはまず、会社を再生させることが大事。いま最低賃金を上げられても困る。体力をつけ、従業員に還元できるようになるまで待ってほしい」と訴える。

一刻も早く是正を
橘木俊詔・同志社大教授(労働経済学)の話 今の最低賃金の水準は低すぎて、とても生活が成りたたない。賃金が生活保護を下回っていると、働く意欲が失われかねず、一刻も早く是正されるべきだ。ただし、重要なのは生活保護の引き下げではなく、最低賃金のアップだ。経営側は、引き上げが企業を潰すと主張してきたが、従業員を養えない企業に存在意義があるのだろうか。また、被災地の企業には、別の枠組みでの支援が必要だろう。

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