日航vs全日空“銭闘”の行方…増資には不自然な印象も

株式市場の資金争奪をめぐり、国内2大航空会社間の空中戦が勃発している。9月にも再上場する方針を打ち出した日本航空(JAL)に対し、全日本空輸(ANA)が機先を制して巨額増資をぶち上げた。双方の主幹事を務めるのがインサイダー問題で揺れる野村証券とあって、バトルの先行きは視界不良だ。

ANAは2012年7月3日、最大約2110億円の公募増資を実施すると発表した。時価総額が5000億円前後の同社としてはかなりの大規模で、発行済み株式数が4割も増える。その代償は株価の急落という形で既存株主に降りかかった。

準大手証券アナリストは「これまで同社はフリーキャッシュフロー(余剰資金)の範囲内で投資するとしており、不自然な印象」と語る。

増資の狙いについてANA広報室は「資本が厚いアジアの航空会社と互角に戦える財務体質を作り、M&A(企業の合併・買収)などの成長戦略に使う」と説明、アジアでの格安航空会社(LCC)買収も視野に入る。

6月19日の株主総会直後というタイミングも物議を醸したが、「株主を軽視するつもりは毛頭ない。常に適切な資金調達方の機会をうかがっており、今が一番良いタイミングと判断した」(同)とする。

ANAがその“タイミング”を計るうえで強く意識したとみられるのが宿敵JALの存在だ。2010年1月に会社更生法を申請して経営破綻、上場廃止となったが、その後、3500億円の公的資金などをテコに経営再建を進めた。不公平な条件での競争を強いられているとしてANA側の不満はくすぶっている。

そしてJALは6月20日に東証に再上場を申請。順調に承認されれば9月19日にも上場となる見込みだ。前出のアナリストは「再上場を機に、ANA株を売ってJAL株を買う機関投資家が続出する可能性もある」とみる。一方、ANAが先駆けて増資に成功すれば「JALへの乗り換えを防ぐことができる」(同)というのだ。

ANA関係者も「JALが上場した後に増資するというタイミングは考えられない。そもそも再上場の予定を前倒ししてきたのはあちらの方」と明かす。

ANAの増資では野村証券が主幹事となった。「インサイダー問題が表面化する前から準備を進めており、販売力や過去の実績もある。相手を信用して進めるしかない」とANA広報室。ただ、3年前の同社の増資でも野村などが主幹事を務めたが、公表直前にANA株の売買高が不自然に急増、情報漏れの疑いが指摘されている。今回の増資でも、発表前日に空売り残高が今年最大となるなど不審な動きがある。

JALの再上場でも野村が主幹事の1社となっているが、インサイダー問題で同社には金融庁の行政処分が下るとみられる。JAL広報部は「上場の承認が降りるまでは何もお答えできない」とするが、ANAの先制攻撃と野村問題がスムーズな再上場への足かせになる恐れもある。

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