宮城県大崎市で温泉保養施設運営の県農民の家農協は、2月28日に事業を停止し、破産手続きの開始を申し立て、手続き開始を決定した。
事業総利益のピークは1995年度の約6億円。施設の老朽化や価格競争の影響で利用者が減り、2016年度は約2億円に落ち込んだ。
近年は年間400人を超す組合脱退者への払戻金もかさみ、資金繰りが悪化。利用客参加型のイベントなどを展開し、経営の立て直しを図ったが、収支は改善せず、電気・水道代や固定資産税も払えなくなった。債務超過額は1億円超とみられ、組合員への出資金払い戻しはできない見通し。
戦後の農民運動を通し、農業従事者の農閑期の保養などを目的に設立された。組合員は約4万4000人で、客室数317室は鳴子温泉郷で最大規模。2016年度は宿泊・日帰り計約6万3000人が利用した。
関係者は取材に対し「さまざま手を尽くしたが、苦渋の選択に至った。非常に残念だが、農民の憩いの場としての役目を終えた」と述べた。
温泉保養施設では2月28日午前、従業員が宿泊客約50人に事情を説明した上で、破産手続きの申し立てを知らせる文書を入り口に張り出した。
会社名 宮城県農民の家農業協同組合
業 種 温泉保養施設運営
所在地 宮城県大崎市
設 立 1949年
負債額 1億4100万円
従業員 55名(含むパート)