倒産速報 明日はわが身です。全国書店 2016年1月〜12月の倒産状況
全国書店で2016年1月〜12月の倒産件数は25件で、前年比56%増。
負債総額は52億9800万円で、前年同月比55%増。
負債1億円未満が13件(構成比52%)と小規模事業者が過半数を占めていて、小・零細規模の書店の厳しい実態が浮かび上がっている。
全国書店で2016年1月〜12月の 休廃業・解散は41件で、前年比3件増。
家族経営の小規模事業者を中心に、先行きが展望できないケースや、経営者の高齢化に伴う後継者難などで事業継続を断念するケースも目立つ。また、人口減少やスマホ、ゲーム機の普及など、全国各地で広がる本離れで業績の難しさが増す状況が透けて見える。
背景には書籍流通が、取次業者を介した返本制度という独特な商習慣も影響している。在庫リスクを抱えず、資金負担が軽減される返本制度で、小資本でも書店経営が維持されてきた。
しかし、書籍・雑誌の流通は取次会社による「パターン配本」が一般的で、書店の仕入れは取次会社任せになっていることも指摘されている。このため、本の品揃えで独自色を打ち出すことは難しく、画一的になりがちだ。また「パターン配本」は機能的な一方、大型書店に売れ筋の書籍が大量配本され、地方や小規模書店には配本が遅れるなどの偏りもあるようだ。
ネット販売など流通経路の多様化で、従来型の書店経営は岐路に差しかかっている。専門化や異業態とのコラボなど、生き残り模索のための経営努力、工夫の実行が急がれる。