会津若松市の東山温泉のホテル「御宿東鳳」は昨年11月以降、全148部屋の稼働率が9割を超えている。
原発事故直後の昨年3、4月は宿泊キャンセルが相次ぎ、稼働率は3割に下がった。代わりに11月まで福島県大熊町の避難者に一時避難先として60部屋を提供し、最大280人を受け入れた。
安達信三総支配人によると、その時の避難者が仮設住宅に移った後も親類らを連れてホテルを利用している。部屋の提供を受けたほか、仮設住宅に引っ越す前の晩にレストランに招待してもらうなどして親しみを感じ、リピーターになった人もいるという。
東山温泉の「やすらぎ宿」(130部屋)も、東日本大震災前とほぼ同じ稼働率に回復した。修学旅行などの団体客が震災前比10%に激減したが、個人客が急増した。「インターネット戦略を強化し、顧客ニーズに合わせたプランを提供するよう努めた成果」(マーケティング部)と話す。
福島市の高湯温泉は全体的には約8割に回復した。個人客相手の中小の施設が好調で、団体客を主な対象とする大規模施設は苦戦している。
郡山市の磐梯熱海温泉の回復率は約7割。家族連れや団体客が戻らず、厳しい経営状態が続く。
県温泉協会は「全体としてはまだまだだが、立地条件や設備に恵まれている施設に復活の兆しが出ている。一部の回復だけにとどまらないように、全体を盛り上げていきたい」と話している。
![]() 【送料無料】ランチェスタ-戦略「弱者逆転」の法則 |